神職は「神職階位」と「神職身分」と神社内の役職である「職称」の3つでランク分けされています。
神社の世界では「神職階位」よりも「神職身分」と「職称」の方が重視されていて、袴の色が変わるのは「神職身分」によって変わります。神職身分は年功序列や、神社庁の役職を務めると業界への功績が評価され上がっていきます。
また、別表神社(べっぴょうじんじゃ)と呼ばれる大きな神社は、毎年の神社庁への納付金額も大きく、神社庁の役職を努める人が多く輩出される為、功績が評価されやすい環境にあります。神職の最高位である「特級」は、大きな神社の宮司さんが昇進するケースが多いので、大きな神社に行けば、「特級」の袴を見られる確率は上がると思います。
【神職階位】
浄階(じょうかい)、明階(めいかい)、正階(せいかい)、権正階(ごんせいかい)、直階(ちょっかい)の5つ階位があります。
【神職身分】
特級(とっきゅう)、一級(いっきゅう)、二級上(にきゅうじょう)、二級(にきゅう)、三級(さんきゅう)、四級(よんきゅう)の6つの身分があります。
【職称】
宮司(ぐうじ)、禰宜(ねぎ)、権禰宜(ごんねぎ)、出仕(しゅっし)等があります。会社組織に当てはめると宮司が社長にあたります。
袴の色と正服の色
神職身分、その他 | 袴の色 | 正服(大祭で着ます) |
特級(とっきゅう)白い袴に白い紋が入っています。 大祭時は、黒い上着を着用します。 主に別表神社の宮司や神社庁の役職経験者です。 |
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一級(いっきゅう)紫の袴に白い紋が入っています。 大祭時は、黒い上着を着用します。 主に別表神社の宮司や神社庁の役職経験者です。 |
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二級上(にきゅうじょう)紫の袴に薄紫色の紋が入っています。 大祭時は、赤い上着を着用します。 主に神社庁の役職経験者や高齢の神職さんです。小さな神社の宮司さんの場合、だいたい二級上が昇級の上限です。 |
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二級(にきゅう)紫色の袴で紋はありません。 大祭時は、赤い上着を着用します。 中堅の神職さんです。常勤の神職さんなら年齢が40歳前後で、大半の方は紫袴になります。 |
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三級・四級(さんきゅう・よんきゅう)
水色に見えますが「浅葱色(あさぎいろ=浅黄色)」という色の袴です。 大祭時は、紺色の上着を着用します。 若手の神職さんです。 |
写真引用元:株式会社民俗工芸
その他の装束
名称 | 装束 | 頭にかぶるもの |
斎服(さいふく)身分に関係なく全員が白色です。 頭には冠をかぶります。歳旦祭(さいたんさい)など中祭(ちゅうさい)に該当する祭典の時に着用します。 |
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浄衣(じょうえ)身分に関係なく全員白色です。 頭には烏帽子(えぼし)をかぶります。様々な祭典で用いられます。 |
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狩衣(かりぎぬ)日常着用する装束です。 色は天皇陛下がお召しになる黄櫨染(こうろぜん)、皇太子殿下が着用される黄丹(おうに)以外の色であればどんな色の狩衣を着てもOKです。但し袴は身分に応じた袴をはきます。 |
写真引用元:株式会社民俗工芸
袴の色は、宮司だからとか権禰宜だからで決まるわけではありません。権禰宜でも紫袴(二級)の人はいますし、宮司でも浅葱色(水色の袴)の人もいます。神社内の役職(宮司や禰宜など)と神職身分(特級や一級、二級など)は分けて考えるのが無難です。